ほっとひと息、井の頭散歩|④井の頭池の冬景色

月刊『ほっとメーッセージ 2016年1月号』 連載《ほっとひと息、井の頭散歩 EPISODE4》

新年を迎えて日に日に寒さが深まる季節ですね。外出がおっくうに感じられがちですが、特別な冬景色を探しに出かけてみませんか。

2回目の「かいぼり」も行われる冬、

井の頭池はどんな表情を見せてくれるでしょうか。

江戸時代、神田上水(現・神田川)は江戸城の将軍や江戸っ子たちの水道で、その源泉の井の頭池の守神を祀る弁天堂は、近郊の名所として知られていました。

浮世絵師の歌川広重は、井の頭弁財天の社を2つの作品に描いています。
その1つが、『井の頭の池 弁財天の社 雪の景』。多摩川の月と小金井の桜と合わせた三部作『名所雪月花』の1枚です。降りしきる雪のなか、太鼓橋を渡る旅人の着物が風にたなびいて、見るだけで、冬の風の冷たさがジンと伝わってきます。

現代の私たちがテレビ番組やfacebookの投稿を見て「行ってみたい!」と行動するように、この浮世絵を目にして、冬の井の頭を訪れた人も少なからずいたのではないかと想像します。

時代は下って昭和29年の1月末、都内で積雪約30㎝の大雪が降り、その影響で気温がマイナス6.3度まで下がりました。
その記録的な寒さに、公園の東端にあった元プールが氷結し、スケートをして遊ぶ人で賑わったと、近隣に長年住んでいる長老から聞いたことがあります。

そこまで記録的な寒さではありませんでしたが、2014年1月と2月、何度か雪が降って井の頭池一面が白く覆われました。ちょうど1回目の「かいぼり」で水が抜かれていた時期で、その時にしか見られない珍しい光景となりました。

今年の冬は、弁天池からお茶ノ水池、ボート池まで水が抜かれます。歴史に残る「かいぼり」と今年の気候がどんな光景を織りなすことでしょうか。

一期一会の冬景色が、楽しみですね。

※月刊『ほっとメーッセージ』は株式会社プロ・アクティブさんが毎月発行している情報誌です。2015年10月号から2016年9月号まで、合同会社いとへんの安田知代が井の頭公園について寄稿した記事を、こちらのブログに掲載しています。

安田 知代

安田 知代合同会社いとへん 共同代表

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長年、フリーの編集者・ライターとして活動後、2012年から仲間とともに合同会社いとへんを運営。著書『井の頭公園*まるごとガイドブック』(2008年ぶんしん出版)、『懐かしの吉祥寺 昭和29・40年』(20011年ぶんしん出版)など。郷土史の小ネタを調べるのが大好き。目下、多摩の山々の歴史を探索中。2015年末に原田病を発症し、ステロイド投薬による免疫力の低い身体と仲良くする方法を模索する日々を過ごしている。

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