井の頭恩賜公園のあゆみ|36話 |歴史への扉

『いのきちさん37号 2017年11・12月号』 連載《井の頭恩賜公園のあゆみ 36話》

創刊号から、歴史の話題を紡いできました。読んでくださったみなさま、取材や資料の提供にご協力くださったみなさま、このような機会をくださった株式会社文伸の川井信良さんに、心から感謝いたします。
最終回は、郷土史をたどる楽しさに誘ってくれた井の頭公園への私的な思いをつづらせていただきます。

井の頭公園の風景から、歴史の襞に隠された物語を見つけよう!

みなさんにとって、井の頭公園はどんな存在ですか? きっと十人十色、多様で奥深い答えが返ってくることでしょう。
私にとっては、なんといっても、タイムトラベルの扉のような存在です。
歴史と今をつなぐ謎の糸口があちこちに隠されていて、時空を超えた旅に誘ってくれるのです。

徳川家康がここで茶をたてたって、本当?
石灯籠に名前が刻まれている人々は、いったい何者?
桜が植えられたのはいつ?
……あれこれ気になり、「調べて本を作りたい」と考えるようになり、約2年の年月を費やして形になったのが「井の頭公園*まるごとガイドブック」(2007年ぶんしん出版発行)でした。

公園の歴史を調べる過程では、図書館で資料を探し、地域の古老に話を聞き、郷土史講座にも参加しました。古い資料や図版があると聞けば、市外の博物館や資料館にも行きました。そうするうちに、公園で見つけた謎の数々は、教科書で学んだ大きな歴史と地域の郷土史の結び目のようだと感じるようになりました。
渋沢栄一のような歴史的人物だけでなく、周辺の人々の環境保全への尽力があってこそ、今の緑豊かな公園の姿がある。結び目を解きながら、心を動かされたことがたくさんありました。

解いてみたい糸口は、いくつも残っています。読者のみなさんの中にも、未知の物語を探っている方もいらっしゃることでしょう。郷土史の楽しみを、いつか共有する機会ができますように。

上の写真は、ガイドブックを作成中に撮ったものなので、子どもたちは今では高校生くらいの年頃になっているでしょうか。
世代を超えて、より緑濃い公園となり、より澄んだ池となっていくことを望みつつ、最終号の筆を置きます。

※『いのきちさん』は株式会社文伸さんが2011年11・12月号から2017年11・12月号まで、井の頭恩賜公園100周年カウントダウン新聞として発行していたフリーペーパーです。井の頭公園の歴史について合同会社いとへんの安田知代が寄稿した記事を、こちらのブログに掲載しています。

安田 知代

安田 知代合同会社いとへん 共同代表

投稿者の過去記事

長年、フリーの編集者・ライターとして活動後、2012年から仲間とともに合同会社いとへんを運営。著書『井の頭公園*まるごとガイドブック』(2008年ぶんしん出版)、『懐かしの吉祥寺 昭和29・40年』(20011年ぶんしん出版)など。郷土史の小ネタを調べるのが大好き。目下、多摩の山々の歴史を探索中。2015年末に原田病を発症し、ステロイド投薬による免疫力の低い身体と仲良くする方法を模索する日々を過ごしている。

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